減塩料理なら安心して食べられるのか

塩分の摂取量が多くなると高血圧になるので、できるだけ減塩するように、ということが当たり前のように言われます。しかし、食塩感受性という言葉があって、食塩の感受性が高い人だけが食塩を摂ることによって血圧が上昇するもので、感受性が低い人は食塩を摂っても血圧が上昇しにくくなっています。感受性が低い人は高血圧の心配をしなくてよいのかというと、血圧が上昇する原因は複数あって、11種類もあると発言している研究者もいます。食塩以外の理由で血圧が上昇していて、食塩感受性が低い人は、食塩を減らしても血圧が下がりにくいという困った特徴があります。
食塩感受性が高い人の高血圧は“食塩感受性高血圧”と呼ばれ、それ以外で血圧が高くなる人は“食塩非感受性高血圧”と呼ばれていますが、食塩感受性高血圧の人は血液中の塩分(ナトリウム)を一定に保つ機能が障害を起こしていると言われています。血液中のナトリウム濃度が低下した場合には腎臓でナトリウムが再吸収され、ナトリウム濃度が高くなったときには腎臓から排出されるという機能が身体には備わっています。この機能が正常に働いていれば、濃くなったナトリウムが排出されて一定に保たれるということです。
ところが、食塩感受性が高い人は、腎臓でナトリウムを排出する機能が低くなっていているために、血液中のナトリウムが多くなるわけですが、ナトリウムには水分と結びつきやすい性質があるために、血液の水分量が増えて、血管を内側から圧迫するようになります。血圧は、心臓から送り出された血液が動脈に与える圧力のことで、心臓から送り出される血液の勢いがよいか、送り出される血液量が多くなると血圧が上昇します。
若いころには食塩感受性が低かった人も、加齢によって感受性が変化することがあり、若いころのように安心して食塩を摂ってよいというわけにはいかなくなります。また、年齢を重ねるにつれて血管の弾力性が低下して、これが血圧を上昇させる原因になります。
こういったメカニズムがわかれば、使用された塩分が少ない減塩食の調味料を使うことを考えるところですが、減塩したものは味が薄く感じられて、例えばラーメンのスープを普通なら残してしまうところを全部飲むということにもなります。そういえば、医師から薄味にするように言われて、ラーメンのスープをお湯で薄めて、なぜかスープを全部飲んでしまった人を有名店で見かけたことがありました。