発達障害児には優れた才能が隠されているのか

自閉症スペクトラム障害の中には、集中力に優れていて、関心があることには徹底的にこだわって取り組むことができる才能があり、これを活かすことによって他の人とは違った才能を開花させることができる、という主旨のテレビ番組がNHKによって多く放送されました。それは事実であって、番組に出演した芸能人やアナウンサー、作家、漫画家などが、普通は弱点と思われていることを逆転させて、素晴らしい活躍をしていることが紹介されていました。
これは発達障害児の親にとっては救いであり、その才能を社会も活かせるように仕事の内容を考えてほしいという結論がなされていました。驚くような才能を発揮する人は、発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害に比較的多くて、発達障害なら誰でも同じように才能を発揮させられるわけではないということは認識してほしいことです。課題な期待感が、かえってプレッシャーになり、大人になってから発達障害によって弱点が重なるようなことにもなりかねません。
発達障害でない子どもの親には、「あまりプレッシャーをかけないように」ということを話すとしても、発達障害児には、あまりどころかプレッシャーに感じることは避けなければなりません。普段から生きにくさ、対人関係などでプレッシャーがかかっているところに、上乗せするようなことがあってはいけないのです。
発達障害児を語るときに、サヴァン症候群(savant syndrome)という言葉が出てきます。発達障害だけでなく知的障害も併せ持っている特定の分野に優れた能力を発揮する人たちを指していて、コンピュータ並みの記憶力、計算力を持つ人もみられます。サヴァン症候群ほどではなくても辞書並みの記憶力がある子どももいるのですが、それでも知的障害がある自閉症の10人に1人ほどだとされています。諦めるのではなく、期待を抱くのは本人にも親にも支えにはなっても、過大に期待をかけすぎると、ついつい親の態度に出ることによって、才能を引き出す前にプレッシャーによってマイナスになることがあることも知っておいてほしいのです。