発達障害対応は全部の大学でできているのか

日本学生支援機構の「大学、短期大学および高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」(2018年度)によると、障害学生の在籍率は1.05%となっています。厚生労働省の発表によると障害者の割合は約7.4%であるので、大学などに進学できている人は、わずかでしかないことになります。これは全体的な統計で、公立の短期大学は3.55%、国立高等専門学校は3.14%、公立高等専門学校は1.64%と、大学では少なく、私立校でも少なくなっていることがわかります。
在籍している障害者のうち発達障害者は17.9%となっていますが、「1.05%×17.9%」で約0.18%となります。発達障害児の割合が10%と推定されていることを考えると、発達障害がある人の多くは大学などへの進学がかなえられていないという実態が浮かび上がってきます。
すべての大学などが発達障害者を受け入れているわけではなくて、在籍しているのは6割くらいとなっています。これは大学が受け入れを拒否しているということではなくて、受け入れるための支援体制が整っていないことが指摘されています。発達障害のある学生の支援内容としては、授業の支援では注意事項等文書伝達、休憩室の確保、実技・実習配慮などとなっています。授業以外の支援では保護者との連絡、学習指導(履修方法、学習方法など)、専門家による心理商法としてのカウンセリング、社会的スキル指導(対人関係、自己管理など)となっています。
こういった支援体制があることは、安心して通学して学び続けるためには大切なことであることは認めますが、それと同時に学校に通っている他の学生が発達障害を充分に理解していることが大切な条件となります。そんなことを大学生に対して、わざわざ指導する必要はないはずで、発達障害への理解は発達障害児が同級生、同窓生にいる間に得られているのは普通だと思われます。しかし、普通と思われることが普通でない結果となっているのが発達障害の特性で、同級生、同窓生を思いやって、学んでいたなら、社会的な理解は、とっくに進んでいるはずなのに、そうはなっていないのが実情です。
進学先の環境づくりのためにも、発達障害の理解を進めるための普及活動、児童発達サポーター養成講習への参加は重要だということを説明させてもらっています。