発達障害支援19 神経伝達物質による改善

発達障害というと、発達の凹凸があることが要因としてあげられますが、神経伝達的には配線の違いや線を通る電気の容量の違いが大きく影響していると考えられています。コンピュータの基盤でいえば、正確につないだはずの配線の一部がつながっていなかった、つなぐ場所を間違えた、つなぎ方がよくないために電気の流れが悪い、といったようなイメージをされます。

コンピュータの場合には配線ミスが一部であっても正常に動きことができなくなります。それに対して人間の脳は、平常時には使われていない部分(サイレントエリア)が非常に多くて、脳で使われているのは10%しかないとの考えが広まっています。脳科学が進み、今では「10%神話」と言われるようになってきましたが、それでも脳は使われていない部分のほうが多いという考えに変わりはありません。

そのため、脳は一部に配線ミスがあっても、他の部分がカバーして正常に働かせることができると考えられています。しかし、これは定型発達の話であって、発達障害がある場合には、脳には大きな負荷がかかっていて、休んでいる部分の脳を使ってもまだ余裕がないということもあります。

そこで重要になってくるのは、神経伝達物質を充分に補うことです。定型発達であっても、神経伝達物質が不足すると神経伝達が正常に行われなくなります。そのために疲れやすくなり、神経を集中させることができなくなり、記憶にも影響が出るようになります。神経伝達物質の中で、発達障害で特に不足が指摘されるのはセロトニンです。

セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれる神経安定には欠かせないものですが、ストレスが高まると脳内での分泌量が増えていきます。ところが、発達障害ではストレスが高まってもセロトニンが分泌されにくいことから、精神安定ができにくくなります。このことが発達障害がある人の苦しさ、困難さを生じさせているのです。