脳の健康寿命97 太っていると血圧が上昇

血圧は心臓から送り出された血液が動脈の壁に内側から与える圧力のことで、必要以上に圧力がかかっている場合を高血圧といいます。
正常な血圧であっても血管には相当の圧力がかかっています。120mmHgでも基準となる水銀の比重は水に対して13.5倍であるので、1620mmとなり、1m62cmも血液を押し上げるだけの圧力がかかっています。高血圧の初期段階は140mmHgなので1890mm(1m89cm)になり、かなりの高血圧である200mmHgとなると2700mm(2m70cm)という、大きな圧力となっています。
内臓脂肪が増えて太っている人は、脂肪細胞からアンジオテンシノーゲンが多く分泌されることによって血圧が上昇します。アンジオテンシノーゲンは血液中のアンジオテンシンを増加させて血圧を上昇させる物質です。通常は肝臓で合成されていますが、脂肪細胞が多くなると脂肪細胞から多く分泌されるようになります。
アンジオテンシノーゲンは、内臓脂肪が直接的に血圧の上昇に影響を与えています。太っているのは脂肪細胞の中に中性脂肪が多くたまっている状態で、多くなりすぎた中性脂肪によって脂肪細胞が膨らんでいきます。
血管の近くの脂肪細胞が膨らむと血管が圧迫され、血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになり、これが高血圧の原因の一つとなっています。
高血圧には、さまざまな原因がありますが、食塩を減らしても血圧に変化がなかった人が、やせただけで高血圧域から境界域に、さらに正常域へと血圧が下がるという例も少なくありません。血圧が高めであることが指摘されたら、太っている人の場合には、まずは体脂肪の減少を心がけることが大切となります。