ほうれん草のアク抜きの話をさせてもらったテレビのディレクターから、「お湯につけたら農薬が持ちるので、ビタミンCが減ったとしてもマイナスではないのでは」という質問がありました。農薬を落とすには水で洗えばよい、というのは常識として語られています。しかし、農薬には2タイプあって、水で落ちるものと、油で落ちるものに分けられます。
ビニールハウスの中で育てたものなら農薬が流れ落ちることはないものの、露地で育てたものは雨が降ったら落ちてしまうので、油で落ちるタイプが使われています。だから、水洗いしても、お湯で煮ても、それほど落ちてはくれないと考えたほうがよいのです。
この話のついでに、緑茶の農薬の話もしました。緑茶はお湯で煎れるので水で落ちるタイプではなく、油で落ちるタイプの農薬が使われています。だから、抽出されたものを飲んでいる分には農薬の心配はないようになっています。
緑茶はお湯に溶け出るよりも茶葉のほうに栄養成分が残っているので、茶葉も飲んだほうがよい、茶葉を使った料理もある、というのは健康を扱う番組ではよく出る話です。油に溶ける農薬は茶葉に残っているので、これを食べるというのは問題です。
茶葉を粉にして飲む抹茶や粉茶は原則的に無農薬ですが、普通に飲むお茶は農薬散布が繰り返されています。茶葉を好む害虫が多く、綺麗な状態の茶葉に仕上げるためには何度も農薬を使わないといけないからです。普通の茶葉、つまり農薬が含まれた茶葉を粉にして飲むための器具もあって、これをすすめる通販番組は、ずっと続いています。