健康・火の用心5 未病は自力で改善できる状態

“未病”というのは健康と病気の間にある発病に至らない軽い症状がある状態で、日本未病学会では「自覚症状はないが検査で異常がみられる西洋医学的未病と、自覚症状があるが検査では異常がない東洋医学的未病」との分類を示しています。

東京にいたときの主治医が慶応義塾大学の教授を務めた循環器医で、日本未病学会の2代目の理事長であったことから学会の支援もして、随分と勉強をさせてもらいました。また、その先生は日本臨床栄養学会の理事でもあったことから、“大火事になる前に対処する”という健康・火の用心につながることも教えてもらいました。

西洋医学的未病ということでは、生活習慣病は初期の段階では自覚症状がないのが普通のことで、検査を受けて初めて指摘されるというのが大半です。中には体調が急変して、病院に担ぎ込まれてから自分の状態を知ったという人もいます。

東洋医学的未病は、確かに東洋医学でよく言われることではあるのですが、自覚症状があるのだから何か変化が起こっていることは間違いありません。従来の検査では原因がわからないということで、精密検査をすれば解明できるということも少なくありません。この点では、西洋医学的未病も東洋医学的未病も通常の西洋医学の範囲であり、まだ未病の段階でアプローチして治す(治未病)ことが重要となります。

未病は、まだ自分の力で改善できる状態です。西洋医学の医薬品を使ったとしても初期段階であれば生活改善、食事、運動を組み合わせることで元の健康の状態に戻すことができます。ところが、そこから進行してしまい、自分の努力が通じないようになり、医療に頼るしかなくなったのが病気です。

糖尿病であれば血糖値が高いだけの状態は未病で、三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)が発症したり、動脈硬化が進行して心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)が発症したら病気ということです。だから、検査数値に異常がみられたら積極的に改善に取り組むこと、つまり「健康・火の用心」を心がけることが重要になるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕