糖尿病は血糖値が判断材料となっていて、血糖値の上昇を抑えることが重視されます。医療機関では血糖降下剤(血糖値を下げるための医薬品)が出され、家庭では血糖値が上昇しすぎないように食事療法と運動療法を心がけることになります。
糖尿病は、食事療法と運動療法を実施したうえで、血糖値の変化に合わせた医薬品が処方されるのが基本となります。食事療法も運動療法もしないまま、医薬品だけを出して、血糖値が下がらないからといって薬の量を増やすようなことは間違いという認識です、
糖尿病の食事療法というと、血糖値を上昇させるのは糖質(ご飯、パン、麺類、砂糖など)に含まれるブドウ糖の量に関係していることから、糖質の食事制限をすればよいと思っている人も少なくありません。しかし、糖質制限によって血糖値が下がったとしても、それで糖尿病が治ったわけではありません。
糖尿病は、体内で余ったブドウ糖が尿中に混ざって排泄されるのが一番わかりやすいことであり、血糖値を測定すれば判定することができます。その両方に問題がなければ安心をしてしまうところですが、それは糖尿病が血管の疾患だということを見落としているからです。
血液中のブドウ糖が多くなると、血管の細胞の中に多くのブドウ糖が取り込まれるようになります。通常の量のブドウ糖であれば、細胞の中でブドウ糖をエネルギー源としてエネルギー化させることができます。ところが、細胞に取り込まれたブドウ糖が多くなりすぎるとブドウ糖の一部は糖アルコールに変化して、細胞の中に蓄積されます。
細胞は一定の水分量に保たれているときに、正常な新陳代謝が行われます。糖アルコールが増えると水分が増えたのと同様に新陳代謝が正常に行われなくなり、そのために血管の細胞の入れ替わりが遅れるようになります。その結果として、血管の細胞の老化が進んでいくようになります。
糖尿病の三大合併症の網膜症、腎症、神経障害は、どれも細くてもろい細小血管が密集しているために老化が進みやすい部位ですが、そのほかの血管でも動脈硬化が進みやすくなります。糖尿病は血管の老化が進んでしまう疾患であるというのは、このことが関係しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕