Medical Diet171 糖質過剰で中性脂肪値が上がる

中性脂肪値が高くなったときには、中性脂肪が含まれる食品を減らし、脂肪摂取を減らそうというのは普通の発想です。中性脂肪は蓄積型の脂肪で、肉や魚などに含まれているのも、体内の脂肪細胞に中に蓄積されているのも中性脂肪です。

ところが、脂肪が多く含まれる食品を減らしても、なかなか中性脂肪値が下がらないという人は少なくありません。というのは、血液中の中性脂肪は食事で摂取した中性脂肪だけが流れているわけではなくて、肝臓で合成された中性脂肪の影響も受けているからです。

肝臓で中性脂肪に合成されるのはエネルギー源の糖質(ブドウ糖)とたんぱく質(アミノ酸)です。体内で必要なエネルギー源を超えた場合には、肝臓で中性脂肪に変換されます。脂肪はエネルギー効率がよいからで、1gあたりのエネルギー量は糖質とたんぱく質が約4kcalであるのに対して、脂肪は同じ重量で約9kcalと2倍以上のエネルギー量があります。

少ない容積で多くのエネルギー量を蓄積できるので、脂肪に合成をしているのです。多くの量を食べると「太る=体脂肪(脂肪細胞の中の中性脂肪)が増える」のは、こういった仕組みがあるからです。

脂肪細胞に蓄積されている中性脂肪は、血液中の中性脂肪が減ったときに、脂肪酸に分解されて血液中に放出されます。血液中の脂肪酸は全身の細胞に運ばれて、エネルギー源となります。それ以外の脂肪酸は肝臓に運ばれて中性脂肪に合成されます。この中性脂肪が血液中の中性脂肪にもなっています。

脂肪細胞の中に多くの中性脂肪が蓄積されている人は、脂肪酸への分解も多くなって血液中に放出され、肝臓で合成される中性脂肪も多くなって、中性脂肪値も高くなってしまいます。中性脂肪値を下げるためには、食事による摂取エネルギー量を全体的に減らすことと同時に、やせることが大切だと言われるのは、こういった仕組みがあるからです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)