発達栄養114 親の栄養の認識

子どもの成長に必要な栄養素は、子ども自身が選択して、摂取できるようにすることはできないので、これは“親の責任”と言われます。責任があることは承知していても、実際に子どもに与えられる栄養、その栄養の吸収の成果は親の認識によって大きく違ってきます。

子どもの偏食の相談の中で多く接するのは野菜が食べられないことです。野菜の味は品種改良によって、甘くておいしくなってきました。以前は子どもの嫌いな野菜の上位にトマトがあげられていました。いわゆるトマト臭さが原因ですが、桃太郎という品種の登場から嫌いな子どもは大きく減りました。

野菜そのものの味としては酸味、苦味があります。乳幼児は甘い味が安心できる味で、これ以外は避けがちです。酸味は腐ったものの味、苦味は毒物の味という感覚です。その感覚は多くの種類の野菜を食べることによって慣れていくので、慣れるまでは調理の工夫、味付けなどが必要になります。

しかし、発達障害があると慣れるまでに時間がかかることがあります。発達障害の特性である感覚過敏では味覚だけでなく、嗅覚、聴覚、視覚、触覚ともに食べることに影響を与えます。

その特性を知って、それぞれの子どもの特性に合わせて食べられるように導いていくべきですが、子どもの拒否反応が強いと、食べさせるための工夫だけでなく、食べさせることを諦めてしまう親も少なからず存在しています。

野菜嫌いの解決の方法は、栄養学的にも医学的にもあるのですが、それを取り入れるかどうかは栄養摂取の重要性についての認識の差が大きく影響しています。子どものための料理をする親などから、よく聞かれることに「野菜を食べる必要があるのですか」ということがあります。

その意味を認識することから、子どもの発達のための栄養改善が始まるということです。