心が使われた漢字の意味合い

「忘」という漢字は、忘れる、覚えていないという意味があり、記憶からなくなっている状態を指しています。文字としての成り立ちは、中国では心臓に花を添えた形象からきているとされていて、亡くなった人を表しています。

心(心臓)が亡くなるということから、心の中から記憶がなくなるという意味で、忘れることを指すようになったといいます。脳の中から記憶がなくなるのではなく、心の中からというのが言い得て妙で、脳の中には記憶として残っているのに、そのことを記憶の中から消し去られているのは悲しいことです。

日常的に会っているにも関わらず、無視されたような状態は、イジメやパワハラのようなもので、その被害者にとってみれば、まるで亡くなったのと同じような感覚にもなります。

現在のデジタル社会は、コミュニケーションソフトの中に蓄積されたリストが1000人を超えていても、“いいね”をつける程度の返事もない人ばかりというのは記憶に残っていない状態と言えるかもしれません。

心の中から記憶がなくなるという意味合いを考えて、そのようなことがないようにしなければならないということで、常に顔を思い出し、交流したことを反芻するということをしています。「無駄な時間」と指摘されることがないわけではないのですが。

「心」が部首として使われている漢字で、よく例に出されるのは「息」です。息は呼吸をする、生きている、憩うという意味合いがあり、中国の語源では心(心臓)と自(鼻)を指しています。自は鼻の象形文字です。

長く息をするのは長息(長生き)になり、心臓を動かすためにも、心を正常に保つためにも息を大切にすることが示されています。心を落ち着かせるためには、ゆっくりと息をして呼吸を整えることが大切になるということを示しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕