発達障害がある子どもは極端な偏食が起こりやすく、感覚過敏から食べたくても食べられないということがあります。その困難さを抱えながら、もう一つの食に関係する困難さがあることが理解されずに、これが苦しい状態を強めていることに周囲が気づかないこともあります。
その気づいてあげなければいけないことというのは、大腸の健康管理で、平たく言えば便通のことです。発達障害がある人は、自律神経のバランスが崩れやすく、副交感神経の働きが高まりにくく、そのために交感神経の働きが抑えきれなくなるということが起こります。
ものを食べた後の口腔と胃での消化液の分泌、小腸での栄養素の吸収、小腸の蠕動運動、大腸での排出まで、促進をしているのは副交感神経です。また、小腸から吸収された栄養素は血液中に入ってから、血管の収縮によって全身に送られていくわけですが、その血液循環を盛んにするのも副交感神経の役割です。
副交感神経の働きが盛んであれば順調に進んでいくところが、発達障害のために副交感神経の働きが弱いと、これらの一連の流れが滞るようになり、その結果は便通に影響して、便秘だけでなく軟便や下痢にもなりやすくなります。
そのことが食欲を落とし、食べる意欲を弱めて、さらに悪影響を起こすことにもなります。そのような状態であるだけに、発育、成長のための栄養摂取だけでなく、胃腸や便通も考えた食品の摂取も考えなければなりません。
ところが、消化、吸収、便通に困難さがある子どもが、どのような栄養指導を受けているのかを聞いてみると、そのような対応がされていない、考えられていないということがほとんどで、それが子どもの食の困難さを強めていることも気づかれていないということが多いのです。
(次回から栄養摂取と便通の関係について紹介していきます)