しっかりと食べてエネルギーを有効活用

ダイエットというと、食べるものを我慢する、休む時間を削って運動をする、それも無理をしたほうが効果はある……でも、無理は続かなくてリバウンドする……しかし、頑張らないと効果がない、という堂々巡りのような話が出てきます。食べるべきものを食べていないと、食事量を減らしたのにダイエット効果が得られないということにもなりかねません。というのは、脂肪細胞に蓄積された体脂肪を減らすためには代謝に必要なビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)をはじめとした水溶性ビタミンが必要になるからです。
食べるものを減らす→代謝のための成分が不足する→代謝が充分に進まない→体脂肪が減らない→無理な運動をする→おなかがすいて我慢できずに食べる→太ってしまってガッカリする→もうダイエットは無理と考えて食べてしまう→もっと太ってしまう……ということにならないように、食べるものは食べて、それをエネルギーにするために運動をするのが正解です。
運動をすると脂肪を燃焼するというように言われていますが、代謝は実際に燃えているわけではありません。詳しい話は他のところで書いているので、ここでは省略しますが、頑張って運動をした割には体脂肪が減ってくれません。「それでは運動の効果がないのではないか」という人がいて、運動をしたがらなくなるので脂肪の燃焼の話は対象者によってはしないようにすることもあります。
脂肪は燃焼していなくても、細胞のミトコンドリアの中では代謝によってエネルギーが発生しています。このエネルギーが全身の細胞を働かせています。運動をするときにも、このエネルギーが使われるので、元気に身体を動かすためには三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を充分に摂って、これらの栄養素がミトコンドリアの中にスムーズに入ってくるようにすることが大切になります。その役割をしているのがα‐リポ酸とL‐カルニチンで、α‐リポ酸が糖質のブドウ糖の取り込み、L‐カルニチンが脂質の脂肪酸の取り込みを担っています。この2種類の成分がないと、充分に取り込まれなくなり、代謝量も減ることになります。
取り込まれなかったブドウ糖と脂肪酸は、血液中に戻って、肝臓で蓄積型の中性脂肪に合成されます。この中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積される、つまり太る原因になるのです。
ミトコンドリアの中に入ったブドウ糖と脂肪酸はアセチルCoAに変化して、TCA回路の中で代謝が行われます。実際の変化については、これも過去に何度か説明しています。TCA回路での代謝には酵素が働いていますが、酵素は酵素だけでは働くことができません。わかりにくい表現かもしれませんが、酵素は欠けている部分があって、この欠けているところを補酵素が補うことによって酵素の本来の働きをすることができるようになります。その代謝の補酵素がコエンザイムQ10です。
要は、三大ヒトケミカルと呼ばれるα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10を補うことが体脂肪の減少にも役立ち、作り出したエネルギーによって充分に身体を動かして、またエネルギーを作り出すという好循環につながるということです。