食事療法は自分で知識を得るしかないのか

食事療法は英語では「diet」と表現されることもあり、私たちのところに食事療法に関する番組を作っている関係者からコメントを求められることがあります。今回の話のネタとなる問い合わせをしてきたディレクターから、「どうしてドクターは独特の食事療法を展開しているのですか」と聞かれました。糖質制限に対する私たちの考えに対する質問ですが、医学的な話になると、ほとんどといっていいほど共通したコメントをしているのに、食事に関する話になるとドクターの中には独特の説を述べて、病院やクリニックの中で患者に対して実践をさせていることがあります。
そういった新たな説を医学者が言っているので、メディアとしては飛びつきやすく、視聴者の反応もよいことから、取り上げられる機会が増えています。その内容が、患者にとって厳しい食事療法となっているならウケにくいものの、「これまでの厳しい食事制限をしなくてもいい」という内容だと飛びつく人がいるのはわかるところです。
研究成果は多く人を対象にして、長く研究が続けられてこそ、その結果がエビデンス(科学的根拠)となっていきます。しかし、テレビなどで取り上げられる研究成果(?)は少ない人、短い期間で、中にはドクター本人が体験したことを裏付けとしていることもあります。
どうして、そんなことになるのかというと、医学部の教育の中で栄養学が学べる大学は全体の4分の1くらいでしかなくて、その多くは義務ではなくて選択なので、栄養学を知らなくてもドクターになれるということがあります。栄養は食品から摂るものですが、食品学を学ぶ機会はありません。卒業してから一生懸命に勉強したこともあるのでしょうが、中には本当に勉強したのかと疑問を抱かないわけではないこともあります。
食事療法のための栄養指導は医学的な行為であると思われるのですが、栄養指導で保険点数がつけられるのは栄養士による指導だけです。ドクターが栄養指導をしても収益にはならない制度です。それでも栄養指導をしてくれるドクターはいますが、収益にならない制度では力が入らない、最新情報を得て間違いのない指導をしようという気持ちが充分でないということは普通に考えられることです。となると、食事療法の話はテレビに登場して独特の説を述べているドクターのことではなくて、医療現場のドクターの指導そのものとなります。
ドクターから治療や予防のための食事の指導をされたときに、「それは本当のことですか」と聞くわけにもいかず、「大学で勉強しましたか」とか「どれだけ卒業後に勉強しましたか」と聞くのもはばかられます。ドクターが言っていることは本当なのかと疑問を抱きながら指導されたことを実践するわけにもいかないとなると、患者や家族が勉強して臨むしかなくなります。
それに役立ててもらいたいという思いもあって、このサイトには「健康チェック」を掲載しています。チェックと書かれていますが、チェックの先にはチェック項目の解説があり、その先にはチェックした項目の詳しい説明がされています。そして、食事のポイントも詳しく説明してあります。さらにサプリメントの活用法にも触れています。なかなか、ここまで見てもらえないのですが、せっかくの情報なので参照してもらえればと思います。