ダイエットのためのウォーキング法の基本は早歩きということになっています。早く歩くほど体に負荷がかかり、それだけエネルギーが多く使われるという常識を覆すような理論が登場しています。それは「ゆっくりと歩くほうが同じ距離を歩くときには使われるエネルギー量が多い」というものです。ゆっくりと歩いたほうが同じ1kmを歩くのでも時間がかかり、時間単位エネルギー量を掛け算すると、むしろ多くを消費しているということです。
時間単位エネルギー量はエネルギー消費量を一定の時間単位で割り出すもので、「時速5kmで1時間を歩いたときのエネルギー量」と表現されます。これに対して、エネルギー消費量を一定の距離単位で割り出すものは距離単位エネルギー量といい、「時速5kmで1kmを歩いたときのエネルギー量」と表現されます。
これまでは時間を決めて歩いていたが、これからは歩く距離を決めて、そこからエネルギー消費量を見ていこうというものです。例えば、体重が55kgの人が1時間、時速4kmでゆっくりと歩いたときのエネルギー消費量は約190kcalだとすると、時速5kmの普通の速度では210kcalとなり、時速6kmの少し早歩きでは240kcalとなります。これだと早歩きのほうがメリットはあるように見えます。
ところが、距離を1kmと決めて、時速4kmで歩くと15分かかり、1km当たりのエネルギー消費量は47.5kcalになります。時速5kmでは12分で42kcal、時速6kmでは10分で40kcalの計算になります。これだとゆっくりのほうがよいようですが、もっと早い時速7kmになると350kcalとエネルギー消費量が跳ね上がり、50kcalになります。
早歩きは、ゆっくりと歩くのに比べると筋肉を使うので、筋肉が鍛えられていきます。筋肉は脂肪を多く燃焼させる部分で、筋肉が増えると脂肪分解酵素のリパーゼが増えていきます。脂肪はリパーゼによって分解されて脂肪酸になり、これが細胞のミトコンドリアの中でエネルギーとして燃焼されます。
歩く時間が同じなら早歩きのほうがエネルギー消費は多いのですが、それは普通の歩き方をした場合の話で、腰を落とした感じで一歩ずつ筋肉を緊張させて歩くと筋肉の負荷が強まってエネルギー消費量も増やせます。歩くスピードで走るスロージョギングも効果があります。