対象者の「5人に1人」という数字はよく出てきます。国民健康・栄養調査の結果によると、糖尿病患者は約1000万人、その予備群も約1000万人と推計されています。比較対象は成人人口の約1億人なので、糖尿病患者と糖尿病予備群は5人に1人の割合となります。
厚生労働省の発表(2015年)によると、認知症の患者数は約462人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人の割合と推計されています。認知症の予備群の軽度認知障害の人は約400万人で、これを合わせると高齢者の4人に1人の割合となります。このままの勢いで進むと、団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症患者は700万人に達して、高齢者の5人の1人の割合になると推計されています。
2018年の高齢化率は27.7%で、2025年には30.3%になると推測されています。高齢になると認知機能が低下することから、高齢化率が高まるほど認知症と軽度認知障害は増えていくのは当然のことです。本来なら医療の進展によって“当然のこと”とはならないのですが、認知症は治療薬はあっても、いわゆる治すというレベルではなくて、症状の進行を遅らせるというものなので、この先も高齢化率が高まるほど認知症も軽度認知障害も増えていくと推測されているのです。
高齢化率は2055年に39.4%となると推計されています。それと同じような状況になっている自治体は、今後の高齢化対策のモデルとなる地域として注目されています。一つが、日本メディカルダイエット支援機構が活動している岡山県和気町です。高齢化率が40%に達しているという県のデータもあり、約1万4000人の住民で40%とすると5600人が高齢者となります。高齢者の5人に1人が認知症との計算を当てはめると1120人も認知症がいることになり、さらにほぼ同数の軽度認知障害がいるとすると、2000人を超える方々が認知機能が低下している計算です。
こういった状況に対応するには、認知機能の好影響を与えることが多くの研究成果によって裏付けられているウォーキングによる有酸素運動を取り入れて、無理なく無駄なく、楽しみながら歩ける環境作りによって認知症予防に取り組むことが重要であると考えています。