軟便と便秘を左右する水分量

食べたものは胃で消化液によって水分が多い状態になって消化されて、小腸に送られてからは水分が徐々に吸収され、最後に大腸で水分が大きく吸収されて、適度な硬さの便となります。どれくらいの水分量かというと、通常の便は70〜80%が水分です。毎日の排泄があれば、ほぼ80%の水分量は保たれているのですが、便秘になると水分の吸収が続くことによって便の水分量が減り、60%ほどになると硬さが増して通過しにくくなります。
この段階なら、まだトイレに時間をかけて頑張れば、なんとか排泄することはできるのですが、この段階で出しておかないと、さらに水分の吸収が進んで便秘となります。便秘は、ただ出ない日があるという状態ではなくて、頑張っても出なくなり、出たにしても硬くて通過させるのが困難という状態まで進んでしまいます。
便秘は水分量が問題だからと、改善するために水を多く飲むようにすすめられることもあるのですが、どんなに水を飲んだからといっても便秘になった硬い便が軟らかくなるわけではありません。特に女性は生理の周期で水分の吸収の状態が変わり、生理前になると便秘になるのが通常です。その理由ですが、排卵から次の生理までの間には黄体ホルモンが多く分泌されていて、その作用で水分の吸収量が増えます。そのために、どうしても便が硬くなって出にくくなってしまうのです。
生理前になると飲酒量が増えるということを言っていた女性がいました。アルコール飲料を飲んで腸内のアルコール量が多い状態になると、浸透圧が変化して水分の吸収量が減るようになります。そのために便が軟らかくなります。通常の軟便は水分量が80〜90%ですが、飲みすぎると90%にもなって、これだと下痢にもなりかねません。何も生理前に限った話ではなくて、さらに女性に限った話でもなく、アルコール飲料を飲んだ翌日は普通に軟便状態になるものです。
だからといって、便秘気味のときに飲酒をすすめるわけでもなく、ましてや多くの量を飲めばよいと言うつもりもないのですが、どうしても出さないと困るという日には飲酒が有効活用できるのは知識としては身につけておいてもよいという話を、セミナーなどでさせてもらっています。