アカモクのフコキサンチンはダイエットの切り札か

アカモクはワカメ、コンブ、もずく、ひじきなどと同じ褐藻の一つで、ネバネバ成分の水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、褐藻色素のフコキサンチンが最も多く含まれています。水溶性食物繊維というと粘度が高いことから胃から小腸へ移動するのに時間がかかり、血糖値の上昇を抑制する作用があります。また、脂肪の一部を包み込んで吸収を抑制することもあってダイエット素材の一つとされています。これに加えてアカモクに多いフコキサンチンには脂肪の代謝を高める効果も明らかにされています。
フコキサンチンが関わっているのはUCP1という成分です。UCP1は脱共役タンパク質の一つで、エネルギー源の糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)をエネルギー代謝させるときに使われるタンパク質です。UCP1が多く存在しているのは褐色脂肪細胞という脂肪を燃焼させる働きがある特殊な脂肪細胞です。一般に脂肪細胞と呼ばれるのは白色脂肪細胞で、その名のとおり白い色をしています。これは細胞の中に中性脂肪を蓄積しているからです。これに対して褐色脂肪細胞にはUCP1が多く存在していて、UCP1の働きによって脂肪を燃焼させます。
食後に背中が温まるということを経験したことがあるかと思いますが、これは肩甲骨の周りと、肩甲骨と肩甲骨の間に褐色脂肪細胞が多く存在しているからで、特に運動をしなくてもエネルギー源が燃焼してエネルギーに変わっている証拠です。体内で発生したエネルギーのうち70%ほどは体熱になっています。通常は細胞のミトコンドリアの中で代謝が起こり、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られることによってエネルギーが発生していますが、UCP1はATPを使わなくてもエネルギーを発生させて体温を上昇させることができます。
フコキサンチンによってUCP1が増えるのですが、褐色脂肪細胞の中で増えているのではなくて、白色脂肪細胞の中で増えていることが研究で明らかになりつつあります。体内でUCP1が増えると白色脂肪細胞は徐々に色づいていってベージュになっていきます。そのことからベージュ細胞とも呼ばれているのですが、フコキサンチンの摂取だけでなく、寒冷刺激や運動によっても発生します。寒冷刺激というのは寒い季節に寒い環境の中にいることで、これによって体熱を多く発生させないといけないことからUCP1が増えていきます。また、運動をすると筋肉を早く温めないといけないことからUCP1が増えていくと考えられています。フコキサンチンを摂るために褐藻を摂るのと同時に、外で運動をすることが重要になるということです。