卵は1日に何個までなら食べられるのか

血液検査を受けて、血液中のコレステロールの量が多いとコレステロールが多く含まれる食品は食べないようにしよう、コレステロールの量が多い卵は健康によいといっても控えるようにしよう、というふうに考えるかと思います。しかし、そのように摂取量に注意した食生活を送っていても、LDLコレステロール値は、なかなか下がってはくれないものです。というのは、血液中のコレステロールの量は食事の影響を強く受けてはいないからです。
血液中のコレステロールのうち、食事に由来しているのは20%ほどで、残りの80%ほどは肝臓で合成されています。合成量は個人差があるものの、1日に体重1kgあたり12〜13mgが合成されています。体重が50kgだとしたら、600〜650mgは体内で作り出されていることになります。もう一つ、食事で摂るコレステロールが大きく影響しないのは吸収率に関係があります。栄養素は食べたものが、そのまま小腸から吸収されるわけではありません。コレステロールの場合は40〜60%の吸収率となっています。一般には中をとって50%と表現されていることもあるのですが、1.5倍もの個人差があるということです。
食事で摂るコレステロールが増えたら肝臓で合成されるコレステロールの量が減り、逆に食事で摂るコレステロールが減ったら肝臓で合成されるコレステロールの量が増えるというフィードバック機構が身体には備わっています。これなら安心してコレステロールを摂ってもよいのかと思ってしまうことですが、若い人で、しかも肝機能がよい人という条件があります。ちゃんと肝臓が働いていないと、食事で摂るコレステロールの量が増えても、調整がきかずに通常と同じ量が合成されて、血液中のコレステロールを増やすという結果になります。血液中のコレステロールが増えすぎた状態が長く続くと動脈硬化のリスクが高まってしまうのです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、脂質異常症の人は重症化を予防するために1日に200mg以下のコレステロール摂取が望ましいとされています。卵のコレステロール量は全卵1個で200mg前後なので、リスクの高い人は1個まで、そうでない人は2個でも大丈夫という考えに今は落ち着いています。