飲酒するほどに体内で合成される脂肪酸が増える

太る要因となっている脂肪は、脂肪酸が3個つながった構造の中性脂肪です。中性脂肪は貯蔵型の脂肪で、肉や魚などの食品に含まれている脂肪も、人間の脂肪細胞の中に蓄積される脂肪も中性脂肪となっています。
ダイエットのためには中性脂肪が多く含まれた食品を食べなければよいように思われるかもしれませんが、まったく中性脂肪を摂らなくても体内の中性脂肪がなくなることはありません。というのは、肝臓で脂肪酸が合成されていて、身体に必要となる中性脂肪を合成しているからです。
普通の状態では糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー源になる食品の量に合わせるように肝臓での合成量が増えていくのですが、アルコール飲料を摂ることによって肝臓で合成される脂肪酸と中性脂肪の量が増えていきます。その合成量はアルコール摂取量に比例しています。合成された中性脂肪は肝臓に蓄積されます。飲酒量が多くなると脂肪肝になるのは、肝臓で多く作られた中性脂肪が肝臓の中に蓄積されてしまうからです。
それだけでなく、血中アルコール濃度が高まると、肝臓から血液中に放出される量も多くなって、これが脂肪細胞に取り込まれて、その中に蓄積される脂肪の量が増えていきます。飲酒をするのは、食事で摂るエネルギー量が少ない状態でも、重要なエネルギー源である中性脂肪を減らさないようにする生命維持のメカニズムということです。
飲酒によって血液中の中性脂肪の量が増えるのは、合成量が増えるだけでなく、食欲が高まって食べすぎてしまうこともありますが、食べすぎると肝臓で合成されるLDLコレステロールの量も増えていくことになります。LDLコレステロールが悪玉コレステロールとも呼ばれるのは、LDLコレステロールが増えると動脈硬化のリスクが高まるからで、過度の飲酒は善玉コレステロールとも呼ばれるHDLコレステロールを減らし、逆にLDLコレステロールを増やすことにもなりかねないので、動脈硬化のリスクも高まっていきます。
ほろ酔い程度の飲酒量(日本酒換算で1合程度)なら、HDLコレステロールを増やして、LDLコレステロールを減らすことができるので、飲みすぎは控えるようにしたいものです。