道路の話をしているときに、関西(特に大阪)では突き当たりのことを「ドーン」と表現することがあります。そのまま進んだらドーンとぶつかってしまうことを表現しているようですが、このドーンとなるところを「T字路」と書いているのをよく目にします。まさに英文字のTの形になっていますが、正式には「丁字路」です。発音もT(ティー)字路と丁(てい)字路で似通っているために混乱されているようですが、法律用語(道路交通法)では丁字路が使われています。丁字路は、英文字が入ってきていない江戸時代から使われている言葉です。
これと並んで混同されているものに「フリーの客」という言葉があります。予約をしないで店舗を訪れる客のことで、予約があったとしても常連客でない人を指す言葉としても使われています。しかし、この言葉も間違いで、正式には「振りの客」といいます。紹介も予約もない客を指していて、振りは馴染みがないことを指しています。意味的にはフリー(free)と同じですが、正しい意味を知っていて、わざと使うのはよいとしても、誤っても外国から訪れた人に知ったかぶりをして使うことだけは避けたいものです。
もう一つ気になるのは「ブレイクする」です。意味としては突破することとして使われていますが、突破することは英語では「ブレイクスルー」(Breakthrough)です。意味的にも似ているように感じることから、ブレイクスルーの意味を知っている人でも、ブレイクするという言葉を使ってしまいがちです。ブレイクスルーは困難な課題を打ち破る革新的な解決策を意味していますが、その意味のつもりで「ブレイクする」と言われてしまうと勢いや本気度が感じられずに、それこそスルーしてしまうことにもなります。スルーするというのは、受け流す、聞き流すという意味で使われていますが、スルーのほうは経過、通り抜けるといった、通り抜けた結果といった意味です。少なくともメールを送ったのに無視されたという意味で使うべき言葉ではないのは明らかです。