ダイエットを医療行為のように有無を言わさずに成果を出そうと思ったら、相当の負担をかけることになります。血糖値や中性脂肪値を下げるために食事を大きく制限して、食べたいものも食べられない、空腹を我慢して過ごすということでは通常は長く続くものではありません。
運動にしても、血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値を効果的に下げる方法は解明されていることから、プログラムどおりに実施してもらえれば結果が得られます。
しかし、これまでの生活習慣を変えて、食事と運動の改善に望むのは、よほどの状況に直面していて、絶対に改善しなければならないという切羽詰まった状況でなければ、自分の都合に合わせて手加減をしてしまうのは人間の常です。怠け心での手加減ではなくて、仕事上、生活上、どうしても変えられない、変えにくいということから指示したプログラムどおりにできないこともあります。
それは本人が悪いのか、それとも指示をしたプログラムのほうが悪いのかというと、圧倒的に後者のほうが原因です。やる気になっていたところに、示されたことが生活を大きく変えなければならない、場合によっては家庭不和を引き起こすようなことだったら、それを無理強いするほうが問題です。
ダイエットデザイナー講習は、自分の状態を知り、それに合わせた食事と運動を実施する、それで効果があがりにくいときには、メディカルダイエット研究で得られた成果を組み合わせています。メディカルダイエット研究の成果を活かせば効果が得られるといっても、生活リズムを狂わせることは、本人にも家族にも苦行を強いることにもなります。
例えば、夕食前の空腹時間に運動をしてから食事をすること、夕食前の入浴によって体脂肪の蓄積が減らせるということを伝えても、食事を作る主婦には無理なことです。その無理を、ダイエットのためだからといって押しつけるのは文化性の否定につながります。
私の臨床栄養の師匠である日本栄養士会の元理事長の病院管理栄養士は、病院の食事指針として、栄養の質と量が足りていることに加えて、「文化性のない食事はエサである」と掲げていました。どんなに栄養バランスが取れていて、量も充分であっても、文化性(嗜好や味覚、季節、時間、食環境など)が配慮されていない食事はエサと同じになりかねない、ということを言っています。
ダイエットも本人の文化性を配慮した方法でなければ、受け入れられるものではなくて、無理をさせることは結局は長続きせず、無駄にもなるということを伝えるために、「文化性のないダイエットは苦行なり」という言葉を用いて講習を行っています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)