005 エネルギー産生にはミネラルが必要だ

ビタミンは体内では原則的に作ることができないものです。腸内細菌によってビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンKは合成されるものの少ない量でしかないので、食事から摂る必要があります。ミネラルは体内では合成されないために、これも食事から摂る必要があります。
ミネラルは、すべての細胞を働かせるために必要となりますが、中でもマグネシウムと亜鉛は細胞の生化学反応を起こしている酵素を働かせる補酵素の役目をしています。酵素は補酵素があって初めて本来の働きができるので、非常に重要な役割があります。マグネシウムは300種類以上の補酵素、亜鉛は200種類以上の補酵素となっています。体内に酵素は3000種類以上がありますが、このうち500種類の酵素が補酵素の不足によって充分に働くことができなければ、健康維持ができなくなることは容易に想像がつくことです。
細胞のミトコンドリアの中のTCA回路で、三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を燃焼させて作り出されたエネルギーによって、全身の細胞は働いています。このエネルギーが充分に作られても、それを使って細胞を正常に働かせるために欠かせないミネラルが不足していたのでは当然に正常な働きをすることができなくなります。
TCA回路でエネルギー物質のATPを作り出すときの最後の段階ではミネラルの鉄が必要になります。鉄というと赤血球のヘモグロビンの中にあって酸素を結びつけて全身に運ぶ働きがあることから貧血予防のミネラルという印象があります。TCA回路でエネルギーを作り出すときには酸素が使われていますが、鉄は酸素を供給すると役割と同時に、エネルギーを作り出す重要なミネラルでもあることから、エネルギー代謝には非常に重要な成分だということがわかります。