121 糖尿病改善の運動と食事

血糖値を安定させて糖尿病を予防・改善するためには運動と食事が大切ということが言われ続けています。それは当然のことですが、運動と食事のタイミングによって、より効果的に血糖値をコントロールすることができます。これがメディカルダイエットの手法で、空腹時に運動をしてから食事をすることをすすめています。
空腹時には血液中のブドウ糖が少ないことから、空腹時に運動をすると血液中のブドウ糖が不足します。これを補うために、筋肉中に蓄積されているグリコーゲンが分解されて血液中に放出されます。グリコーゲンはブドウ糖が複数結びついた多糖類で、肝臓と筋肉に蓄積されています。肝臓の蓄積量は決まっていることと、筋肉が刺激されるとグリコーゲンが分解されやすくなることから、空腹の運動後には筋肉からブドウ糖が多く放出されるようになるわけです。
この後に食事をすると、肝臓で合成されるグリコーゲンの量が増えます。肝臓ではブドウ糖を材料にしてグリコーゲンが合成されていますが、筋肉から減った分を補うように、その合成量が増えていきます。グリコーゲンに合成された分だけ、ブドウ糖の量が減り、その分だけ血糖値が下がることになります。
運動をした後に食事をしても、この効果は得られますが、やはり効果があるのは空腹時の運動をした後の食事です。1日に三食を食べるとして、その中でも特に効果があるのは夕食前の運動です。グリコーゲンへの合成は膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが担っています。インスリンは自律神経の副交感神経が盛んに働いているときに多く分泌されます。夕方以降には副交感神経の働きが盛んになるため、インスリンの分泌量が増えて、それだけグリコーゲンの合成量も増えているからです。