218 血圧対策には中強度のウォーキング

有酸素運動にはウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、運動をしなれていない人にとってはジョギングやエアロビクスは身体への負担が大きく、負荷がかかりすぎると通常の酸素摂取では間に合わずに無酸素運動と同様の状態にもなりかねません。リパーゼは平常の体温では、それほど働きがよくはなく、身体を動かして筋肉が温まってくることによって働きがよくなっていきます。歩き始めてから10分くらいまではブドウ糖が盛んに燃焼していて、そのあとに脂肪の燃焼が盛んになっていきます。体脂肪の中でも内臓脂肪が減少すると腹部を通過する血管が圧迫されにくくなり、血圧が低下しやすくなります。
血圧を下げるための運動については、日本高血圧学会は「高血圧治療ガイドライン」(2009年)の中で、中等度の強さの有酸素運動を中心に定期的に(30分以上を目標に)行うことを示しています。これは心血管病のない高血圧患者を対象者として設定されています。中等度というのは中強度とも呼ばれていて、ウォーキングの場合には、なんとか話せる程度の早歩きを指しています。
日本動脈硬化学会は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(2012年版)の中で、最大酸素摂取量の50%強度が効果と安全性の面から適しているとしています。最大酸素摂取量は1分間に体重1kgあたりに取り込むことができる酸素の量を示しています。50%強度は身体的にきついと感じない程度の頑張った歩き方を指しています。このガイドラインでは、1日30分以上を週3回以上(できれば毎日)、または週180分以上を目指すように示しています。また、「運動療法の実施にあたっては、潜在性の動脈硬化疾患や骨関節疾患の合併を探索しておく必要がある」と記載されています。