242 運動と入浴のタイミングで体脂肪を減らす

運動をして筋肉が温まると、筋肉の中にある脂肪分解酵素のリパーゼの働きが活性化されて、脂肪の分解が進みます。脂肪には、グリセロールに結合している脂肪酸の数によってモノグリセリド(1個)、ジグリセリド(2個)、トリグリセリド(3個)があり、中性脂肪と呼ばれるのはトリグリセリドです。細胞の中に取り込まれた結合した脂肪酸は、細胞の中でリパーゼの働きによって脂肪酸が単独状態になります。この単独の脂肪酸が細胞の中にあるエネルギー産生器官のミトコンドリアの中に取り込まれます。ミトコンドリアの膜を通過するときには、脂肪酸はL‐カルニチンと結合した形となっている必要があります。
運動をして筋肉が温まっている間はリパーゼによって脂肪分解が進んでいて、その結果として脂肪の燃焼(代謝)が進んでいます。では、運動を終えると脂肪分解も終わるのかというと、そのようなことはなくて、運動終了後も30分ほどは筋肉が温まっているのでリパーゼは働き続けています。筋肉の温度が下がるにつれてリパーゼの活性は低下していくものの、運動をしていない間も脂肪酸の燃焼が続いています。
運動には汗を流したくなり、入浴したくなるところですが、入浴すると筋肉の温度が高くなってリパーゼの活性が止まることになります。リパーゼは活性化しやすい温度帯が決まっていて、温度が低くても高くても活性が下がることになります。そこで運動後には入浴をしないで、そのまま過ごすか、汗を流したいならシャワーを浴びるだけにしておきます。ぬるめの温度での入浴でも、お湯の温度が筋肉に伝わって、運動後の筋肉を温めることになります。それに対してシャワーは、身体の表面は温めても、奥の筋肉までは熱は伝わっていかないので、リパーゼの活性に影響を与えることはできません。そして、30分を過ぎて、筋肉の温度が下がってきてから入浴をするようにするのが、リパーゼの機能を低下させずに体脂肪を減らす方法です。