「意識の変化が社会を揺り動かす」は本当か

コロナ禍が長く続く中、しかも変異株の登場で、どんどん追い詰められていく感覚があるのに、国の対策を全幅の信頼をもって受け入れられないということから、「元に戻ることができるのか」「日常を取り戻すことができるのか」という不安な意識も高まり続けています。コロナ対策というと飲食店の営業自粛がメディアで取り上げられる機会が多いことから、飲食店に例えると、収束して客足が戻ってきても、売り上げが元の状態に戻ってくれるという保証はないという話です。
家庭飲みが当たり前になり、外食で楽しもうという意識も以前より薄れてきました。仕事が変化して将来的な不安があると、どうしても財布から出る金額を減らそうとするために無意識のうちにも注文の内容や品数が減ってしまいます。そんな状況で、客単価が同じであると想像することには無理があります。意識の変化は、これまで必要なものと考えてきたものが、案外と必要でなかったと気づくことになり、あとで役に立つということで高機能のものを購入してきたことから、役立てる機会がないかもしれないという考えにもなります。
日本人の意識を変えるには、1年半にもなる自粛期間は充分すぎる時間だったのです。
意識の変化が単に消費に影響するというだけの話ではなくて、意識の変化は社会の動きにも、事故や事件にも影響を与えます。“地球意識プロジェクト”は1998年に始まった世界規模での超心理学の実験で、意識が与える影響を乱数生成器を使って世界的なネットワークを組んで観察をしています。乱数生成器は電子の双六(すごろく)のようなもので、双六を数多く振っていれば平均的な目の出方になります。ところが、なにがしかの影響があると双六の目が偏って出てくるようになります。その偏りを発見するために始まったプロジェクトです。
通常は社会的な変化や事件などが起こると、不安心理から意識が変化して乱数に変化が起こるものですが、乱数と事件・事故などを見比べると先に乱数の変化が起こり始めて、事件・事故のあとに大きな変化が起こっています。このことから意識が社会に与えることについて研究が進められているのですが、今の意識の変化こそが新たな社会的な変革のきっかけになるという考えをもって、次世代の支援を考えているのです。
次回は、意識してやっていると思っていることが、実際には無意識が起こしていて、それが社会を変化させているのではないか、ということを考察させてもらいます。