お寺の接客で覚えたお茶とお菓子の味

日本ワインソサエティーの会員となって、超有名ホテルのシェフソムリエからワインを教えてもらいましたが、芸能人の格付けではないものの、価格が100倍違うワインは判別できても10倍の違いだと怪しいという状態です。別の超有名ホテルのバーテンダーからカクテルについて学びましたが、これも深いところまでは至っていない、せいぜい蘊蓄(うんちく)をバーテンダーに負けない(と言っても若手のバーテンダー)くらいです。
修行をすれば味はわかると言われ続けてきたものの、あくまでアマチュア感覚では、プロの領域に足を踏み入れるのは無理があります。子どものころの環境が大きく影響してくるのが味覚で、私の環境といえば母の実家のお寺と父の実家の米屋のおかげで、日本茶と和菓子のことは味わいも背景も詳しくなりました。お寺にも米屋にも日本酒はつきものだったのですが、これは未成年の時期には深く体験することはできませんでした(浅くなら体験していましたが)。
小学校に入学する前は親元を離れてお寺で暮らしていました。お客さんが来ると日本茶と和菓子がセットで出されていました。お客さんにランクがあってはいけないはずですが、複数の茶筒には品質の異なる茶葉が入っていました。お客さんによって開ける茶筒が違うので、それでなんとなくお客さんの扱いに気づいたりしたものです。和菓子は見た目で明らかにランクがわかります。お客さんに出したあとに、お茶を飲んでみて、和菓子も食べて、なるほど相性があるのだということもわかりました。
今のようにポットで温度設定ができる時代ではなかったので、上客には低めの温度で上質のお茶を出すこともわかり、お湯の温度を変えて、茶葉の入れ方、注ぎ方をなんとなく理解できたのは入学前の5歳のときでした。
和菓子は甘ければよいというわけではなくて、砂糖と塩のバランスが重要で、甘味が強い和菓子には渋めのお茶がよいとされるものの中には、低温で甘味を引き出して甘みと甘みを対決させることがおいしさにつながることもお寺で覚えました。
今では茶葉の成分のカテキンとテアニンの健康効果というような話の依頼しかないのですが、できることなら体験をベースに心も和ませるお茶の話もしてみたいものです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)