発達栄養学120 野菜が食べられない子どもの対応4ビタミンの話5

前回までの水溶性ビタミンに続いて、脂溶性ビタミンを紹介します。油脂に溶けてから吸収されるので、脂肪が含まれる食事のときに摂る必要があります。
ビタミンA:レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、主要成分のレチノールには発育の促進、皮膚や目の粘膜の保護、抵抗力の強化、視力の暗順応(暗いところで目が慣れてきて見えるようになる機能)などの作用があります。食品ではレバー、うなぎ、バター、チーズ、卵などの動物性食品と、緑黄色野菜に多く含まれています。
ビタミンE:トコフェロールがビタミンEの作用をする成分で、抗酸化作用によって体内の脂質の酸化防止、血液中の脂肪(中性脂肪、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロール)の酸化による動脈硬化を予防する働きがあります。食品ではナッツ類、植物油のほか、うなぎやたらこなどの魚介類、緑黄色野菜のかぼちゃ、アボカドなどに多く含まれています。
ビタミンD:食品から摂るほかに、紫外線を浴びることによって体内で一部が作られます。小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進させる働きがあり、神経伝達物質であるカルシウムの体内濃度を保つとともに、骨にカルシウムを輸送することによって強化する働きがあります。食品では魚介類(特に鮭、しらす干し)、卵、きのこ類に多く含まれます。
ビタミンK:食品から摂るほかに、腸内細菌によって作られます。血液を固める作用がありますが、これは出血をしたときに止血する因子を活性化させるからです。骨のタンパク質を活性化させて、カルシウムを定着させる働きがあります。食品では納豆が最も多く、緑黄色野菜(ほうれん草や小松菜など)にも含まれます。
緑黄色野菜には抗酸化作用があるカロテンが多く含まれ、健康によいといっても、これが独特の味の要因であり、濃い色が食べられない原因という子どももいます。そこで脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンE、ビタミンKは他の食品から摂ることを考えます。