なぜボランティアでスポーツ競技が成り立つのか

スポーツの競技団体は、オリンピック、ワールドゲームズから各競技団体の世界選手権、各国大会まで、大会運営だけでなく、競技団体の役員はボランティアです。職員の場合は給料が支払われ、交通費などの実費も支払われていますが、役員は常勤でない限りは実費程度しか支払われていません。潤沢に活動資金がある団体や、マイナースポーツの中にみられるように特定の企業の広報活動の一環として行われている場合には役員に定額が支払われる場合もありますが、それ以外はボランティアで何も支払われないのかというと、それでは存続が難しくなります。
そこで考え出されたのが20%方式です。20%を手数料として受け取るというのは広告代理店の常識的な感覚ですが、スポーツ競技は団体運営、大会運営にスポンサーをつけるのが普通のことです。競技会場にスポンサー名が並んでいるのは、そこからの支援で成り立っているということを示していて、これがPRになっているので、多くの人の目に触れる機会が多い競技、テレビ放映される競技には大口スポンサーがつきます。
大会そのものにスポンサーがつくこともあり、最も大きな競技大会のオンリンピックではIOC(国際オリンピック委員会)と契約した14社がワールドワイドオリンピックパートナーで、この他に大会組織委員会と契約したゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターがあって、それぞれランクによって支払い金額が異なっています。企業が要望すれば契約できるというわけではなくて、ワールドワイドオリンピックパートナーと同様の商品・サービスを提供する企業は入れてもらえないという原則があります。
大口のスポンサー契約、パートナー契約は広告代理店が持ち込むことが原則となっていますが、役員を通じて契約する例もあります。オリンピックに限らず、ほとんどの大会では役員がスポンサーを獲得してくる例があり、その場合には広告代理店と同様の20%を原則とした手数料が個人に支払われます。個人に支払う側としては、忖度と言わないまでも、何らかの便宜への期待はあります。
以前に、あるスポーツ団体の役員が20%を超える手数料を受け取っていたことがメディアで批判されたことがありましたが、手数料を受け取ったことが批判されたわけではなくて、あくまで規定を超えた割合・金額だったことが指摘されただけです。オリンピックで動く金額に比べたら微々たるものかもしれませんが、この手数料の仕組みがあるので、役員は頑張り、組織や大会が運営されているという事実もあります。