ウォーキング大会を開催するための条件

ウォーキングは道さえあれば自由に歩いて移動できる、最も簡単な運動であり、その方法によっては最も安上がりで健康が得られる方法でもあります。ウォーキングのコースは、起伏があったり、路面が変化して、いろいろな歩き方ができることと、風光明媚な景色を楽しみながら歩くのは精神的な健康効果もあるので、できるだけ変化に富んだコースを求めたくなります。これは歩く側の論理であって、安全に歩いてもらい、イベントとして成功させようと願っている側の倫理は少し異なっています。
日本ウオーキング協会の主管によるウオーキング大会は、主催者の自治体の健康づくりの一環ではあるものの、公式の長いコースを歩いて、ポイントを稼いでもらうことも大きな目的となっています。そのポイントというのは地球1周分とされる4万kmの踏破で、公式大会で歩いた距離がポイント加算されます。そのためにポイントを増やそうとして、長いコースがある大会に全国から愛好者が集まります。また、ポイントを記録するには、小銭ですが、記録を捺印してもらう料金もかかるので、できるだけ多くの方々に集まってもらいたいという要望も主管側にはあります。
そういった仕組みで実施されてきたことから、コロナ禍では密を避けるために大会が軒並み中止になり、多くの人たちと交流しながら歩きたいという要望はかなえられなくなっています。
大会は中止になっていても、ポイントなしでも自主的に歩きたい、という人はいるわけですが、コース設定のときには、安全な実施方法として大会と同じルールのもとにコースが決められ、運営が行われています。コースは歩道があり、歩道がない場合は広い道路が必要です。遠くが見通せて、クルマとの事故がないようにします。ルールどおりに歩いてもらうように、見通せる範囲に係員を配置して、歩いている人に安全のための注意を呼びかけます。横断歩道は信号を守って渡るのは当然のことで、できることなら信号ごとに係員を配置します。
曲がり角にはコースを間違えないように誘導する人を配置して、先頭でコース誘導しながら歩く人と、最後尾から遅れないように呼びかけながら歩く人が必要になります。これだけの人数が配置できることもコース選びと並んで重要な開催要件となっています。