自転車とともに歩くことをすすめる理由

「歩かないと歩けなくなる」と言われます。だから、歩き続けなければいけない、ということをウォーキング関係者ならずとも話をしていますが、歩く代わりに自転車でもよいのではないか、足を動きすだけでもよいのではないか、と言い出す人が必ずいます。
テレビの通販番組で、自動的に歩くような感じで足を動かしてくれる装置が紹介されています。30年後も歩き続けたい!というのがキャッチフレーズですが、足を動かし続ければ歩く能力が低下しないですむのか、そのことについて考察してみます。
歩くことの効果というと有酸素運動になり、生活習慣病につながる血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値を低下させることがあげられます。これだけの効果であるなら、自転車でもよくて、自転車に乗って勢いよく進めることはウォーキング以上の有酸素運動になって、心配能力も高めてくれます。また、足の筋肉全体にかかる負荷も大きいので、筋力アップの効果もあります。これはよいことではあっても、一つだけ難点があって、それは骨が弱くなることです。
足腰の丈夫さは筋肉だけでなく、骨も丈夫であることが大切です。歩くことは通常の歩行でも体重の3〜4倍、軽いジョギングでも4〜5倍、階段の上り下りでは6〜8倍の負荷がかかるといいます。この負荷は筋肉を強くするだけでなく、骨にショックを与えて、骨に取り込まれるコラーゲンもカルシウムも増やしてくれます。自転車に乗っているときには、地面に足がつかないことから足に受けるショックが少なくて、骨も丈夫にはなってくれません。自転車競技の選手は足の筋肉の太さの割には骨が細く、また弱くて、骨を強化するために階段の上り下りをトレーニングに加えているくらいです。
自転車のペダルを小さくしたような歩行補助装置は、自転車ほど足が大きく動いていないので、期待するほど筋肉も強化してくれません。歩くことがすすめられるのは筋肉と骨の状態だけではなくて、全身のバランス強化、体幹機能の維持といった効果もあるので、他にトレーニングをしても歩くことは必要です。足腰が丈夫で、自分で立てる、歩けるという能力が維持されていることは、もしも次世代に介護、介助をしてもらう立場になったとしても、迷惑をかけずに済む大切な能力だということです。