サプリメントは好きなだけ摂ってもよいのか

サプリメントは栄養補助に摂取するもので、以前は食品なので、どれだけ摂ってもよいと言われていました。しかし、栄養補助食品では摂取の上限が定められ、好きなときに好きなだけ摂ってもよいというわけにはいかなくなりました。栄養補助食品とされるのはビタミン、ミネラル、脂肪酸で、それ以外の成分については上限は定められていません。これは機能性表示食品の表示で明らかにされていることですが、多くの量を摂取したからといって病気が治ったり、健康効果が高まることはありません。
「過ぎたるは及ばざるが如し」ではないのですが、多くの量を摂取しても一定以上の効果がないというなら、せっかく摂ったのに金額的に損をしたということで済んでしまうかもしれません。ところが、多く摂ることによって健康面で被害が出るとなると、「好きなだけ摂ってよい」などと言うことはできなくなります。
健康被害が比較的少ないところでいうと、カルシウムは骨を丈夫にする成分と一般に認識されていますが、カルシウムの吸収率は30%ほどで、吸収されなかった分は腸壁を刺激して、蠕動運動を盛んにするために使われています。腸の動きがよくないために便通がよくないという人にとっては、カルシウムが多くなることで便通が正常になっていきます。ところが、通常の便通の人がカルシウムを多く摂りすぎると便通がよくなりすぎて、下痢や軟便になって苦しむことになります。
健康食品で特に注意しなければならないのはウコンです。日本医師会は「そのだるさ、健康食品による肝臓障害かも?」という啓発用ポスターを作成しています。病院やクリニックの待合室で見かけたことがあるかと思います。このポスターでは、どの健康食品が問題であるかについては触れていないのですが、日医ニュースでは「『健康食品』やサプリメントを摂りすぎていませんか」とのテーマで、ウコンの摂取によって肝機能障害があった例を紹介しています。ウコンの中でも秋ウコンには有効成分のクルクミンが最も多く含まれていて、「秋ウコンは胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉鎖症には禁忌」と書かれ、ウコンは血液凝固を抑制することから血液凝固抑制剤を服用しているときにはウコンを摂らないように注意しています。