ポストコロナ「人の不利見て我が不利直せ」3

不利なことであっても、コロナ禍を脱出するには飛び込むしかない、無理をするしかないというのは、何度も見られたことでした。コロナ禍で、思った以上のマイナスになってしまった人が、それをコツコツと取り戻していこうというのなら、状況が変わっても通じることかもしれません。しかし、思った以上のマイナスを被ってしまった人の中には、一気に取り戻そう、大逆転の稼ぎを出そうと無理をする、無理どころか絶対にやってはいけないことに踏み出してしまう人が、かなり多く出てしまいました。
小さな出資で大きなリターンを得るのは成功例の典型で、それを目指して、できるだけ短期間で結果を出したいと願うのは、今の時代では当然のことなのでしょうが、短期しか見ていない人が多すぎるように感じます。小さな出資で大きなリターンを得るには、一気に稼ぐのではなくて、長く継続できることを提案すべきです。短期間の収益は、周囲を犠牲にすれば可能です。自分だけが稼げればよい、自分の考えに従う人だけが儲かればよいということなら、コロナ禍でも収益が得られます。
しかし、そのようなことは、どんなに継続を願っていたとしても、長続きするものではありません。長く続いて、長く収益を得るためには、その仕組みが構築されていることが重要です。それがなければ、いくらよく見えても“不利”なところからスタートすることにもなりかねません。
私たちが口にするのは「世のため他人のため」です。“他人”と書いて「ひと」と読むので、「よのためひとのため」となるわけですが、他人のためといっても、継続させるためには、その継続させる自分のためにもならなければなりません。他人のことになっても、自分のためにもならなければ、続ける気も起こりにくく、結局は長続きしないことになります。
コロナ禍脱出のために無理をした人は、不利なことをやって、それが有利にならないまま進んでいることも多く目にして、それに巻き込まれて苦しい思いもしてきました。そんなときにこそ、「人の不利見て我が不利直せ」という言葉を思い起こして、自分の反省にするだけでなく、この人は一緒に活動してもよいのかと常に問い続けるようにしています。そんな、本来ならやりたくないようなことまでしなければならないほど、新型コロナウイルス感染症は大きなダメージを与えているのです。