乳酸をエネルギー物質に変える方法

乳酸は疲労物質とされ、運動法の話をするときには、疲労物質をためない方法が長らく検討されてきました。筋肉トレーニングなどの無酸素運動をすると早い人の場合には30秒を過ぎると発生してきます。ここに着目して、無酸素運動と有酸素運動を交互に繰り返すサーキットトレーニングでは、無酸素運動を30秒間したら、次は有酸素運動を30秒間するという方法を基本としています。有酸素運動は乳酸がたまりにくいだけでなく、乳酸をエネルギー物質として活用できることも、無酸素運動と有酸素運動を繰り返すメリットとして打ち出しているジムもあります。
このことについて質問をしてきた雑誌編集者がいましたが、当たり前のことに気づいたようです。その当たり前のことというのは、「無酸素運動を30秒間で終えれば、乳酸は発生しないはずなのに、有酸素運動をする意味があるのか」ということです。サーキットトレーニングは乳酸の活用だけを言っているわけではなくて、無酸素運動によって筋肉の中に多くの酸素を取り込み、続けて有酸素運動をするときに多くの酸素を使って脂肪燃焼を盛んにしようということです。とはいえ、乳酸の発生と活用は気になるところです。
乳酸が疲労物質といわれるのは、増えすぎると筋肉の動きを止める作用があるからです。体内で発生する乳酸が多くなりすぎて、急に筋肉が動かなくなると敵に襲われたときに逃げることもできず、最悪を考えると心臓も筋肉なので心臓が動かなくなって生命維持ができなくなることも考えられます。ということで、動けなくなるほど乳酸がたまる前に疲労を強くして、身体を休める、つまり筋肉を使わないようにするという生命維持のための仕組みが備わっているわけです。
そもそも乳酸は、細胞のミトコンドリア内でブドウ糖がピルビン酸を経て発生しています。元がブドウ糖であるのでエネルギー源として分解して使用することができるもので、その使用のために有効となるのが有酸素運動です。乳酸が発生するのは筋肉の中の白筋で、乳酸を使っているのは赤筋です。
それと同時に有効なのが、乳酸の発生を減らすこと、つまりエネルギー源を完全燃焼させる方法で、そのために充分に必要となるのがブドウ糖をミトコンドリアに取り込み、ミトコンドリア内での代謝を促進する働きがあるR‐αリポ酸(天然型のα‐リポ酸)です。R‐αリポ酸は体内で合成されるものの、20歳をピークにして減少し続けるため、年齢を重ねるほどサプリメント成分として摂取した場合の効果が高まるということです。