代謝が低下すると活性酸素が大量に発生する

活性酸素は細胞を破壊して、老化を進める怖いものと脅かされています。活性酸素が体内で多く発生しても、活性酸素を消去する作用がある抗酸化成分の植物の色素や、抗酸化ビタミン(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE)を摂っておけば大丈夫と考えられがちですが、最もよい対処法は、もともと活性酸素が多く発生しないようにすることで、そのために必要なのはエネルギー代謝を正常な状態に保つことです。
エネルギー代謝は、全身の細胞の中にあるミトコンドリアで起こっています。ミトコンドリアにはTCA回路というエネルギーを作り出すサイクルがあり、エネルギー源のブドウ糖や脂肪酸を取り入れて、酸素と4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)を用いて生化学反応を起こしています。
TCA回路で完全に代謝が起こっていれば、エネルギーが発生したときに二酸化炭素と水が作り出されます。ところが、不完全燃焼のようなことになると、余計なものとして活性酸素が発生します。ということは、不完全燃焼を起こさないようにすればよいわけで、そのときに活躍するのが代謝促進成分です。代謝促進成分は数多くありますが、その中でも三大代謝促進成分とされるのがα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。
どれも体内でアミノ酸を材料にして合成されていて、これらが全身の細胞に取り込まれます。ブドウ糖はアセチルCoAに変化してTCA回路に取り込まれますが、アセチルCoAに変化するときに働くのがα‐リポ酸です。また、α‐リポ酸にはTCA回路を働かせるための酵素を補う補酵素の役割をしています。
脂肪酸は、そのままではミトコンドリアの膜を通過することができないのですが、L‐カルニチンは脂肪酸と結びついてミトコンドリアの膜を通過させます。脂肪酸もアセチルCoAに変化してからTCA回路に入り、TCA回路でアセチルCoAが次々に変化してエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。そのときに働く酵素を補う補酵素の役割をしているのがコエンザイムQ10です。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10はともに、体内で合成されるものの、そのピークは20歳前後で、そこから先は年齢を重ねるほど合成量が減り、エネルギー代謝も低下していきます。年齢が進むと、同じだけ食べて、同じだけ動いても太る傾向となるのは、3種類の代謝促進成分が減ったための代謝の低下が原因となっています。
この3種類の成分は、以前は医薬品の成分として使われていましたが、2001年にコエンザイムQ10が食品の成分としても使うことが許可されました。続いて2002年にL‐カルニチンが、2004年にα‐リポ酸が同じく食品の成分として許可されました。
エネルギー代謝を促進するサプリメント成分で、ダイエットにも役立ちますが、活性酸素の発生量を減らす成分としても注目されています。