代謝にはビタミン、ミネラル、ヒトケミカル

三大栄養素とは糖質、脂質、たんぱく質のことで、食事から摂ることによって細胞のミトコンドリアの中でエネルギーとなることから三大エネルギー源とも呼ばれています。三大といっても、四つ目があるわけではなく、三つの種類しかありません。この三大エネルギー源をエネルギーに変換するのがエネルギー代謝で、単に代謝とも表記されます。代謝というと新陳代謝という言葉があって、細胞の再生、入れ替わりの意味に使われる事が多いので、エネルギー産生(細胞内でのエネルギー発生)を指すときには面倒でもエネルギー代謝と呼んだほうが合っています。
エネルギー代謝を行うときに必要になるのが代謝促進成分で、通常はビタミンとミネラルがあげられます。ビタミンは糖質、脂質、たんぱく質がミトコンドリアに取り込まれるアセチルCoAに変化するときに必要です。ミネラルは細胞を働かせるための補酵素となり、中でもマグネシウムは細胞の約300種類の補酵素、亜鉛は約200種類の補酵素となっています。
ビタミン、ミネラルと同様に代謝促進成分として欠かせないのがヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。ヒトケミカルはホルモンや生理活性物質などの細胞内で合成される成分ですが。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10はヒトケミカルの中でも重要な成分ということで三大ヒトケミカルと呼ばれています。ビタミンもミネラルも食品から摂る必要がある栄養素ですが、三大ヒトケミカルは食品にも含まれていて、合成量、体内の保持量が減ったときには食品から補うことができます。
ビタミン、ミネラルに続く言葉としては食物繊維が一般的で、三大栄養素と合わせて、六大栄養素とも呼ばれています。食物繊維は腸内活性に必要なもので、胃では消化されなくても腸内細菌によって分解されて腸内細菌のエサにもなります。だから、必要なものであることは誰もが認めることです。
しかし、エネルギー代謝という生命維持に必要な栄養素ということになると、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの次に並ぶべきは三大ヒトケミカルとなることは明らかです。
といっても、六大栄養素の中に加えると栄養学的に混乱が生じるので、代謝成分に注目して、「三大代謝成分」と呼ぶことにしたいと思います。その三大代謝成分の中でビタミンとミネラルは充分な栄養摂取をしていれば不足することはないはずです。国民健康・栄養調査によると日本人はカルシウムとカリウムの不足が特徴的で、他の栄養素は食品の選択と摂取量が間違っていなければ補うことができます。問題は三大ヒトケミカルで、体内での合成量は20歳代をピークに減少する一方です。今でこそ長寿を誇る日本人は歴史的な長生きしたことがないこともあって、高齢になると三大ヒトケミカルが大きく不足して、通常の食事だけでは不足分を補うことができません。
幸いなことにα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は2001年から2004年の間に、医薬品成分だけでなく食品として摂ることが許可された成分であり、サプリメントとして摂ることができます。サプリメント成分としては種類による選び方、摂るタイミング、加工法による吸収性の違いなどの問題もありますが、その情報を知れば効果的に補って、エネルギー代謝を高めることができるので、その情報は是非とも入手したいものです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10に情報については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。