健康あない人26 ATMなしでモバイル決済の開始

情報を受け取るだけのWeb1.0から情報を発信するWeb2.0の時代になり、今はネット社会を活用するWeb3.0の時代になったということを以前に紹介しました。手順を踏んで進んでいく見本としてWeb3.0は使われていますが、一足飛びにWeb3.0から始まることは今の時代にはあり得ることです。

音楽を聴くにはレコードからCDになり、音楽配信の時代になりました。映像の世界もDVDから映像配信になったというように、歴史の積み重ねの上に成り立っているのが、これまでの社会であったとすると、一気にモバイルで配信されるのがスタート地点という時代にもなっています。

どこの話なのかというと、今はアフリカでの事業の例としてあげられることが多くなっています。電波の通信の世界どころかも通信線も通っていない、場所によっては電気も通っていないという地域では、銀行では通帳という金融システムが始まった時代から続いていることでしか金の出し入れができないという状況でした。わずかな金に出し入れに往復何時間もかけて移動するという地域に、ATMを導入しようと動いていた企業がありました。

日本でATMが出回り始めたばかりのときに、金融機関ではATMの説明会があり、なんでも聞いてほしいと言われたときに、使い方ではなくてATMの意味を聞く人がたくさんいました。

ATMは、「automatic teller machine」の略で、現金自動預け払い機と訳されています。今では現金の出し入れだけでなく、さまざまな機能が設けられて、自動取引装置、自動窓口機に様変わりしています。

日本に初めて登場したのは1969年のことで、住友銀行の東京と大阪の店舗でした。銀行の店舗が減り、その分だけATMが増えて、コンビニも銀行の代わりになる時代となっています。そのような道のりを一切なしで、アフリカでは一気にスマートフォンのモバイル決済が進んでいます。ATMの必要性もなく、ATMに関わるサービスをアフリカに持ち込もうとしていた企業の仕事は無になってしまいました。

まだまだ一足飛びの事業が始まる時代に、これまでの歴史を知っておくことは少しは価値があるとしても、一気に変化する時代に対応できる発想は重要です。アフリカの食糧問題を討議するときも、これまでの世界的な流れを踏襲するようなことをしていたら、それこそ時代に取り残されることにもなりかねません。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)