健康ウォーキング1 運動不足による筋肉低下

外出をして歩くことは健康維持の基本ですが、歩行数が大きく減ったことによって、全年齢層の筋力低下、体力低下、心肺機能低下、生活習慣病の増加が懸念され、さらに高齢者については免疫低下、認知機能低下も叫ばれています。その不安に拍車をかけたのが新型コロナウイルスの感染拡大による外出の自粛でした。
歩く機会が極端に少ない状況では、筋肉の量は1日に1%が減少することが指摘されています。高齢者は特別な筋肉トレーニングをしない限りは、1年ごとに筋肉の量は1%ずつ低下していくとされており、寝たきりのような状態で1日をいるだけで、1年分の筋肉が落ちていくことになります。2週間も寝たきり状態だと高齢者は筋肉が23%減少して、若者の場合では28%も減少することが確認されています。外出自粛が2年、3年と続いた場合には、さらに大きく低下することになりますが、この筋肉を元の状態に戻すためには、効果的な筋肉トレーニングであっても3倍以上の期間がかかります。
全身の筋肉量の70%ほどを占める足腰の筋肉量の低下は、さまざまな機能低下をもたらすことは明らかです。新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊が懸念されている中、医療機関の崩壊だけでなく、医療を受ける側が歩かないことによって医療崩壊、介護崩壊につながりかねないことも大きな懸念材料となっています。
誰も経験したことがない超高齢社会が進む中、医療と介護の重要性が高まり、従来の医療システム、介護システムでは支えきれないことが新型コロナウイルス感染拡大を通じて肌で感じられるようになってきました。感染拡大が収束して、元の生活に戻れば健康度も回復しするという甘い考えは通用しなくなります。それだけ長い期間の運動不足、歩行不足は身体にも社会にも大きな影響を与えているのです。
地域の健康対策は、これまでは自治体の責任であり、社会的な支援に頼ればよいとの考えもされがちでしたが、大きく低下した身体機能を回復させるには、これまで以上に人材も資金も必要となり、自治体が支え切れる状態ではないと認識しています。そこで市民が連携して地域の力を結集した健康づくり活動として、歩いて健康になることを目指した活動を始めることとしました。歩くだけでなく、より効果を高める方法として食事や睡眠などの活用法について理解をして継続させるための講習も実施して、新しい生活様式としての健康ウォーキングの研究と普及に取り組む必要があります。