健康ウォーキング12 高齢者の定義変更が提言された

後期高齢者の数が前期高齢者の数を超えた前年の2017年1月に日本老年学会と日本老年医学会は、高齢者の定義の変更を提言しました。2013年に高齢者の定義を再検討する合同ワーキンググループを立ち上げ、高齢者の心身の健康に関する各データを検討して議論を重ねてきました。
これまで高齢者は65歳以上と定義されてきました。しかし、歩行速度、握力、血清アルブミン濃度(血漿中のタンパク質の濃度で肝臓と腎臓の働き、栄養状態を示す)、骨の強度、残存歯数などのデータから、現在の高齢者は10〜20年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が5〜10年遅延して、若返り現象がみられています。特に65〜74歳の前期高齢者は心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることがわかりました。
これらを踏まえて、ワーキンググループでは65〜74歳(前期高齢者)を准高齢者、75〜89歳(後期高齢者)を高齢者、90歳以上を超高齢者と区分することを提言しました。そして、准高齢者は支えられる側ではなく、高齢者を支える立場であるとしています。この提言に基づいて、年金の受給年齢を75歳まで延長することを選択できる制度改革が検討されました。
65〜74歳(現状の前期高齢者)は超高齢社会を支える立場であるというのは、これまでの健康状態に基づいての提言です。外出自粛によって歩行数も運動時間も大きく減少した現状においては、75歳以上の後期高齢者を支えるどころか、74歳まで元気に過ごせるのかという素朴な疑問と不安も湧き上がってきています。この解決に向けての地道な活動も目指していきます。