健康ウォーキング2 健康ウォーキングの研究促進

ウォーキングは誰もが簡単に実践できる健康づくりの運動法として多くの国民に受け入れられるとともに、生活習慣病の予防・改善のために医師をはじめとした健康づくりに関わる多くの専門家によって推奨されています。ウォーキングは自然環境を楽しみながら継続することができる有酸素運動であり、高齢者や運動不足の中高年などの体力増進や心肺機能の向上ばかりでなく、生活習慣病と運動科学の研究科学が進むにつれて生活習慣病予防のみならず、介護予防、認知症予防までを可能とする機能トレーニングとして期待されています。
健康ウォーキングの種類としては、心臓機能を高めることを目的としたパワーウォーキング、心肺機能の向上を目的としたエクササイズウォーキング、生活習慣病予防やダイエット目的のフィットネスウォーキング、2本のポールを用いた全身運動のノルディックウォーキングなどがあります。目的や方法は異なっていても、通常のウォーキングよりも身体負荷が高く、それぞれの目的に対応した医科学的な検証も行われています。
身体負荷が高まるほど高齢者や身体機能が低めの方々には継続しにくいことも指摘されており、目的に応じた効果的な歩き方の実践指導が求められ、研究が続けられてきました。その研究については大学や研究機関に加えて、日本ウォーキング学会や公益財団法人日本健康スポーツ連盟でも実施され、同連盟ではフィットネスウォーキングインストラクターの資格認定も行っています。この資格認定は地方自治体や健康保険組合の健康スポーツ指導者、健康運動指導士、健康運動実践指導者を対象としたもので、健康づくりから生活習慣病対策を目的としたウォーキング指導の機会となっています。
65歳以上の人口が2025年には30%を超えるとされ、生涯に渡って自立した生活を過ごせる健康寿命を延ばすことは国と地方が一致して取り組む重要事項であり、健康寿命の延伸にはメタボリックシンドロームの予防と改善、ロコモティブシンドロームの予防と改善とともに、認知機能の保持と向上が求められています。そのための手法として運動と栄養による健康増進があげられていますが、中でも運動による健康の維持・増進は数々のエビデンス(科学的裏付け)が得られています。
健康寿命の延伸は地方自治体が掲げる重要なテーマであり、健康目的のウォーキングを取り入れた健康寿命の延伸による地方創生に多くの自治体が取り組んでいます。
これらの研究と成果は、新型コロナウイルス感染症の前の社会に対応したものであって、感染拡大にあっては、活かせないまま経過を観察している状況です。感染拡大は運動や外出の機会を奪っただけでなく、健診や検診の受診を減らし、医療機関の通院者も大きく減らしました。家庭にいる時間が延びたことによる食べ過ぎと飲み過ぎ、生活リズムの変化、ストレスの増加などによって、国民の健康度は大きく低下しました。
これを回復させるためには、以前と同じ対策だけでは不十分であり、より効果が得えられる健康づくりとして、健康ウォーキングによる実践と、他の健康づくりの基本となる講習を組み合わせた実践に期待が寄せられています。