健康デザイン29 歯科と医科の連携による健康デザイン1

健康デザインは歯科健診から始まり、歯科と医科の連携によって健康成果が得られるものと認識しています。歯と口腔の健康状態が保たれていることによって、すべての栄養素が摂取できるようにすることができます。

食べ物を噛むことは、細かく砕いて飲み込みやすくする、消化液としての唾液を多く分泌させると同時に、唾液に含まれる成分による抗菌作用、歯や口腔内を清潔にする効果、顔の筋肉や骨の強化、免疫の向上や認知機能の維持・向上、活性酸素消去など、多くの健康づくりの基本的な動作となります。

また、噛む回数を増やすことによって、満腹中枢が働きやすくなって食べ過ぎを抑えるという抗肥満(ダイエット)効果や味覚の発達、食感の向上など、おいしく食べて、適正な体重を保つという効果も確認されています。

歯と口腔の健康状態を保ち、正常な咀嚼と嚥下ができるようにすることは、胃での消化も助け、小腸からの吸収、大腸の蠕動運動による排泄という、生きていくための身体活動の基本中の基本となります。

しかし、働く世代に実施が義務づけられているのは定期健康診断だけで、これには歯科健診は含まれていません。

歯と口腔の健康状態が優れていることは、全身の健康と関わりが深いだけに、学習能力や作業効率などにも大きな影響を与えています。歯と口腔の健康は、仕事の効率を高めて生産性を向上させるだけでなく、歯と口腔の健康が保たれるような職場環境は働きやすい条件の一つとして、離職率を低く抑えることにも貢献します。

歯と口腔の健康を把握して、それに一般的な健康診断の結果を加えることは、従業員の健康状況を予測して、より働きやすい条件を与えることにもなるだけに、健康経営の基本ともなります。従業員の健康は企業や団体の健康度にもつながります。

歯科健診によって歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。歯が少ないと咀嚼が困難になるために、食べられるものが限られ、バランスよく栄養を摂取することができなくなっていくのです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕