健康寿命延伸のための提言41 提言のエビデンス5身体活動2

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第2回)を紹介します。
日本人の研究は少ないものの、WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、複数のシステマティックレビューなどから、身体活動を促進することが認知機能低下や認知症のリスク低下につながるとされています。国立長寿医療研究センターが実施した臨床研究から、有酸素運動、コグニサイズ(認知課題と運動を同時に行う)、身体活動の促進などを実施することが、認知機能の維持・向上に効果のあることが明らかになっています。
コクランレビューにより報告されたメタ解析より、高齢期において、運動や筋力トレーニングは、筋力の維持・増強や身体機能(歩く速さやバランスなど)の維持・向上に役立つことが示されています。さらに、運動や筋力トレーニングを行うことは、転倒予防にも役立つとされています。
これらの報告で効果の認められた運動の方法として、例えば、有酸素運動や筋力トレーニングがあげられます。専門家による指導のもと、トレーニング機器を用いて行うものや、自身で行うホームエクササイズのようなものなどがあげられます。運動を行う場合は、自身の体調や健康に合わせて無理のない範囲で行い、必要に応じてかかりつけの主治医に相談するなど、安全に充分注意して行う必要があります。
※システマティックレビュー:文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験のような質の高い研究のデータを、出版デバイスのような偏りを限りなく除き、分析を行うこと。