日本人が最も健康だったのは昭和30年代後半説

日本人の平均寿命が50歳に達したのは昭和22年(1947年)のことで、その当時のアメリカは60歳、北欧は70歳を超えていました。今でこそ世界トップクラスの長寿国の日本ですが、終戦直後は、いわゆる先進国の中では最後尾に位置していたのです。それが2年後には60歳に急に平均寿命が延びています。これは平均寿命が、今の高齢者が何歳まで生きられるかという数字ではなくて、誕生した年齢(0歳)の人が現状の経済状況、生活環境が続いたとすると何歳まで生きられるのかという推定年齢だからです。
平均寿命が延び続ける中で、生活習慣病になる人が増えてきました。一生涯に使う医療費である生涯医療費は年齢が進むほど増えていき、生涯医療費の半分は70歳以降に使われている実態があります。ちなみに生涯医療費の平均は2700万円です。そのうちの2割なり3割を個人として負担しているわけですが、それ以外は国や自治体、保険組合などが負担しています。
日本人の平均寿命が順調に延びている中で、生活習慣病は今ほど多くはなくて、理想的な推移をしていたのは昭和30年代後半でした。健康を維持するために戦前の食事に戻ることをすすめる“粗食派”の人たちもいますが、その時代の平均寿命が短かったことを忘れているかのような主張です。伝統的な日本食を基本として、それに不足している肉や脂肪をプラスすることで血管が丈夫になり、免疫も向上しました。それが今は摂取しすぎで平均寿命の延びを生活習慣病が引っ張るような状態で、自由に行動できる健康寿命と平均寿命の差が男性で9年、女性で12年にもなっています。
日本人の食物繊維の摂取量が、現在の理想とされる量と同じだったのは昭和30年代です。昭和27年(1952年)に学校給食の完全給食が導入され、学校給食は欠食児童対策から教育の一環になりましたが、そこで身につけたバランスが取れた食事が日本人の健康度を高める大きな要因になったことは間違いないと思っています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)