健康食品 敵か味方か10 身体に機能を与えるのは医薬品だけなのか

健康食品やサプリメントの表示を規制する医薬品医療機器法(第2条の3)には、医薬品は以下のように定義されています。

「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの」

医薬品というと疾病の診断、治療、予防に使われるものという印象があるかもしれませんが、「身体の構造又は機能に影響を及ぼす」もの、それも、そのような結果があるものだけではなくて、「目的とされている」ということで、実際に効果がなかったとしても、それは医薬品の範疇ということになります。

医薬品でないものを規制するのが医薬品医療機器法に基づく「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」で、身体の機能に影響を与えることを健康食品が表示したり、標榜して販売することは禁止されています。この身体に影響を与える機能としては、血液サラサラや抗酸化も含まれるので、ほとんど表現ができないことになります。

ただし、この規制は一般の健康食品の場合であって、健康食品の中でも機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)は一定の許可された範囲で機能性を述べることが許されています。それは血圧を安定させる、血糖値の急上昇を抑える、ストレスを軽減させる、歩行を助けるといった表示で、機能性表示食品の広告やテレビ通販番組で見聞きする表現です。

許可されているのは、そこまでであって、機能性表示食品や特定保健用食品であっても医薬品にだけ許可されている疾病の診断、治療、予防について表示することはできません。

また、医薬品と同じような用法用量も表示することはできません。用法というのは、いつ摂るのかということで、食前、食後、食中、食間といった表現になります。これは健康食品では表現できないことです。

用量というのは、どれくらいの量を摂るかということです。医薬品では1日に飲む量や1回に飲む量が用量で、年齢、体重、病態、併用薬によって変えられています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕