発達栄養93 アレルギー物質への考え方

子どもが食物アレルギーを起こさないようにするためには、お腹に胎児がいるときからアレルギー物質が含まれる食べ物を避けることが効果的だということを言う人もいます。医師や栄養士の中にも、そういった考え方をする人もいるのですが、そんなことをする必要はないという考え方が徐々に増えてきて、大勢を占めるようになってきています。

アレルギー反応を起こさないようにするための免疫細胞のTレグ細胞は体内にはあって、アレルギー物質と出会うことによってTレグ細胞の働きが強くなっていくのは事実です。しかし、免疫細胞は母親から子に臍の緒を通じて伝えられることはあっても、それはわずかなことであって、母親が身につけた免疫性が、そのまま子どもに伝わるわけではありません。

一般に言われる母親から子どもに伝えられる免疫は、これまでに長い歴史で経験してきた感染症などへの抵抗力であって、初めて経験した有害物質などへの抵抗力も高まるというのは期待しすぎです。

また、アレルギー物質への過剰反応は、人によって異なるので、母親が身につけたアレルギーへの抵抗力が、子どもにも有効であるとは言えません。

このことがわかると、無理をしてアレルギー物質を摂ることはないということがわかるはずです。

アレルギー物質への抵抗力がつくのは、誕生してからなので、アレルギー物質を少し食べることで、徐々に慣れさせていくというのが最新の考え方です。あえてアレルギー反応を起こすものを摂ることもなく、それも無理をして多くの量を摂ることもありません。通常の食事によってバランスのよい栄養摂取をして免疫力を高めていくことを考えればよいのです。

もしも、アレルギーが起こって、食べられない、多くの量が食べられないということになって、それが免疫力を低下させる結果にならないように、できるだけバランスよく食べるというのが離乳食の始まりから心がけることです。