健康食品 敵か味方か27 食事内容で変わる吸収率

健康食品の成分の吸収率は成分によって大きく異なります。最も吸収しやすい条件が整っていたとしても半分も吸収されないというのは普通のことです。

最も吸収率に影響するのは成分の脂溶性の性質に関わるもので、脂溶性の成分は油の成分に溶けてから吸収されるので、胃の中に脂肪がある食後に摂ることで吸収されます。その脂溶性の性質がある成分を空腹時に摂ったとすると、胃の中で分解されないので、小腸で吸収されることもなく、そのまま素通りしてしまいます。

ビタミンではビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが脂溶性です。健康食品に使われることが多いコエンザイムQ10はビタミン様物質(ビタミンに似た性質)で、脂溶性であるので、空腹時の摂取は素通りして意味がないことになります。

ここまでは食事をしたあとか、それとも空腹時かという話であって、食事の内容とは、あまり関係がありません。もちろん、脂肪が多く含まれている食事のほうが胃の中に脂肪が多い状態なので、脂溶性の成分は分解されやすく、吸収もされやすいことになります。

だからといって、脂肪を多く摂れば、それだけ吸収される量が増えるということでもありません。適度に脂肪があれば、それで脂溶性成分は分解されます。

これに対して水溶性の成分は、水に溶ける性質なので、いつ摂っても胃の中には水分があるので分解されます。水で健康食品を飲めば、その水だけでも分解されます。

この理屈からいうと、どんなタイミングで摂ってもよいのが水溶性成分ということになるのですが、成分の特性によっては必ずしもそうではないものもあります。

コエンザイムQ10と並ぶ代謝促進成分のL‐カルニチンは、水溶性ではあるのですが、たんぱく質と一緒に摂ったほうが吸収性が高まります。ということは食後、それもたんぱく質が多い肉、魚、卵、乳製品、大豆製品を食べたときに摂るのがよいことになります。

もう一つの代謝促進成分のα‐リポ酸は、胃液で分解されて別の成分になるので、胃液が多く分泌されていない空腹時に摂らないといけないことになります。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕