加齢が副交感神経の働きを低下させる

自律神経の交感神経と副交感神経のバランスは、年齢を重ねていくと変化が起こってきます。交感神経は身体を興奮状態にさせて活発に活動をさせる働きがあることから、加齢によって、あまり機能が低下することはありません。それに対して副交感神経は加齢による低下がみられます。男性は30歳を過ぎたころから、女性は40歳を過ぎたころから大きく機能が低下することが確認されています。そして、年齢を重ねるほど副交感神経が働きにくくなっていくようになります。このバランスの乱れが、加齢による機能低下に拍車をかけることになります。
自律神経と性ホルモン分泌には深い関係性があります。男性は、加齢によって男性ホルモンが徐々に低下してくるため、身体の変化も小さいまま続くので、自律神経の乱れに気づきにくくなっています。それに比べると女性は、更年期には女性ホルモンの分泌量が大きく低下することから、のぼせやほてり、発汗などホットフラッシュと呼ばれる特徴的な変化が起こるようになります。
副交感神経が働きにくくなると、抑制のブレーキがかかりにくく、交感神経の働きが際立つようになり、興奮しやすくなる一方で、リラックスしにくくなってきます。そのため、副交感神経の働きを高めて、リラックスできる機会を増やすことが必要になります。
年齢を重ねると便秘になりやすくなる理由として、消化液の減少や蠕動運動の機能の低下、体温の低下などがあげられていますが、それに副交感神経の機能の低下も加えて、便通をよくする方法に取り組むことがすすめられます。
ストレスが自律神経の働きを乱し、またストレスがホルモンのバランスを乱し、自律神経の乱れはストレスにもホルモン分泌にも悪影響を与えます。さらにホルモンバランスの乱れはストレスを高め、自律神経も乱すことになります。これが悪循環となっているのです。全身の調整が乱れると腸の状態は回復しにくくなるだけに、腸の健康状態を根本的に改善するには自分でできる自律神経の調整を実践することが求められます。