学習障害29 視覚系・聴覚系・感覚と運動系の課題によって異なる困難さ

学習障害の改善に取り組むときには、どこに課題があるのかを把握して、それぞれの状態に合った方法でアプローチする必要があります。文字の読み書きに関しては、タイプI:視覚系の課題、タイプII:聴覚系の課題、タイプⅢ:感覚と運動系の課題に大きく分けられています。
同じように文字が読めない、漢字の習得が困難、特殊音節の習得と仕様が困難という状況であっても、タイプI、タイプII、タイプⅢによって問題点が異なっているので、その指導方法も異なるのは当然のことです。ところが、文字が読めないという状況だと、これまでの経験を踏まえた指導や画一的な指導をしてしまうことがあります。これでは特徴(原因)を踏まえていないために、指導法が受け入れられない、受け入れられたとしても効果が出にくいということが起こりがちです。
学習障害の特性と、その課題が把握できたら、次には原因や背景を踏まえた指導をすることになりますが、これについてももちろんタイプI、タイプII、タイプⅢによって指導のポイントが異なってきます。
次回からは、タイプ別の解説と課題、指導のポイントについて紹介していくこととしますが、学習障害を学習能力の問題としてだけとらえるのは的確ではありません。視覚系の課題、聴覚系の課題、感覚と運動系の課題を、それぞれ理解するだけでなく、原因を解決して、それを学習障害の改善につなげていくことが大切になります。
視覚系に課題がある場合には、視覚系の機能を向上させるための指導(トレーニング)が必要で、聴覚系、感覚と運動系についても同様のことがいえます。それを厳しさを感じさせるトレーニングではなく、遊びながら改善していく方法を取り入れて、いつの間にか学習障害の改善をサポートしたという結果に結びつけていくことが大切です。