妊娠中の生活が母親と子どもの体調に与える影響3

子どもの健康のための生活面の注意というと誕生後が中心になっていますが、お母さんの胎内にいるときに受けたことが、子どものときだけでなく、生涯にわたって影響を与えることが多くの研究によって明らかにされています。
その研究成果として、国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その提言のエビデンスの解説から、妊婦に関わる項目を紹介します。
〔3食事2〕
妊娠を予定している男女を対象とした前向きコホート研究で、甘味飲料の摂取量が多いほど妊孕性が低下することが報告されています。また、妊婦を対象とした前向きコホート研究では甘味飲料の摂取が多いほど生まれてきた子どもの小児期の肥満のリスクを増加させることが報告されています。
妊娠中にたんぱく質やエネルギー摂取が不足したり、過剰に摂取すると、子どもが低出生体重児で生まれてくるリスクが増加することが報告されています。日本での観察研究で、たんぱく質を適量摂取している妊婦においては、子どもが低出生体重児であるリスクが低いことが報告されています。
妊婦でも、単独の食物や栄養素だけでなく、食事パターンが重要だと考えられています。米や魚、野菜の多い食事パターンの妊婦の方がパンやパスタなどの麦食の食事パターンの妊婦よりも子どもの出生体重が大きくなることが報告されています。また、地中海式の食事パターンを持つ女性では妊娠糖尿病や生まれた子どものアトピー性皮膚炎のリスクが低下する可能性が報告されています。野菜、果物、豆・種子類、魚介類を多く含み、赤肉・加工肉・揚げ物が少ない食事パターンをとっている妊婦は、そうでない妊婦よりも一貫して早産のリスクが低いことが報告されています。